SEIG NEWS

§7. 「好奇心」「共生社会」「批判的思考」

社会科の教員は、いつも根源的な語り合いをしています。たとえば、どんな様子なのか、少しご紹介しましょう。

社会科教科会議
社会科教科会議

「私たちのまわりにはチョコレートなどがあふれているが、生徒たちには、これはカカオと砂糖とミルクと少年の汗でできているということに気づいて欲しい。」
「それには、日常の情報の正否へ疑問をもち自分で調べて、与えられる情報に振り回されない見方を養うことが大切である。」
「そのような視点を身につけるためにも、授業では好奇心を引き出さなくてはと思う。」
「それはたしかに大切だ。しかし、好奇心はやはり体験によって芽生えるものだから、糸魚川農村体験や沖縄の修学旅行などの体験のプログラムの創意工夫は常に議論していきたい。」
「要するに、1つの生が成り立つ時、そのまわりにたくさんの生が存在するから、1つの生きた体験の学びは社会科以外の他教科との連携も必要になる。事前や事後の学びで、教科どうし共に学びの環境を設定していきたい。」
「それはまさに、今を生きる力、つまり情報を鵜呑みにしないで、自分で判断する力を育てる話に立ち戻る。そして、それは判断できるための基礎的な力を前提としなければならない。それを定着させるために、授業の中で訓練を徹底することや自宅学習の習慣化をどうするかも、もっと情報交換したい。」

ウィンターセミナー高3日本史
ウィンターセミナー高3日本史

このように、社会科の教員は、生徒が現代社会をどのように見つめるか、どのようにとらえられるか、自分に与えられた目標(使命)に気づき実践していけるかについて確認し合っています。
人間の生活や文化、歴史、政治、経済は、実は目の前では見えない遠くの地域の出来事や過去や未来の出来事のほうがはるかに多いのです。ですから、人間の生き方そのものに好奇心を抱き、想像力を拡げ、共感する力がどうしても必要になってきます。

中1地理の授業
中1地理の授業

したがって、授業において、世界地図の見方や写真・図説の読み方、歴史物語の組み立て方などがカギになります。また、行事や体験・研修旅行後の文章化は、体験での「気づき」を再認識する上でも重要で、この作業を行なうことで知識を知恵に成長させることに繋がる事もあり、少なくとも自分自身の判断力を鍛える学びになります。
社会科では、知識と知識を組み合せる「学ぶ力」、自己及び社会にとって有益な知恵を「学ぼうとする力」をいかにして育てるか、授業方法論を洗練していく努力をしているのです。