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【海外研修】タイ研修旅行レポート②「水害から3ヶ月、メーコック財団にて」

食事後の皿洗いは交流のチャンス

メーコック財団(Mae Kok Foundation/以下MKF)では、幼児から高校生まで約20名の子供たちが共同生活を送っています。その中には、親の保護を受けられない児童生徒も含まれています。本校の元校長戸邉治朗先生は、MKFの前身であるメーコックファーム・プロジェクトの立ち上げメンバーであり、校長の任期終了後はタイに移住し、毎年タイ研修旅行に協力してくださっています。12月23日には、子供たちやスタッフ、戸邉先生が私たちを温かく迎えてくださいました。

戸邉先生と生徒たち

子供たちがプレイルームに招いてくれました

一緒に取り組んだTシャツのプリント作業

前回の記事(2024年12月26日付)でホイヒンラートナイ村の水害についてお伝えしましたが、その2週間ほど前、東南アジアを襲った台風11号によって、チェンライ県を流れるコック川流域で大規模水害が起きていました。山間部から下流の市街地に至るまで流域全体に渡って深刻な被害が出たのです。
川沿いに立つMKFが受けたダメージは、特にひどいものでした。堤防が決壊し施設全体の65%が水に浸かりました。子供たちは高い場所に避難して無事でしたが、ゲストハウス1棟(2部屋)が流され、ボランティアが泊まるシェアルーム1棟も損傷が激しく後に取り壊しになりました。濁流は子供たちの寮やキッチン棟、残ったゲストハウスの天井の高さまで押し寄せました。

浸水した中、備品を運び出す

水は数日後に引きましたが、大量の土砂が部屋の中にまで残っていました。数日間は電気と水道が止まり、対岸と行き来する橋も壊れていました。そのような困難の中、近隣だけでなく遠くの県からもボランティアが駆けつけて、財団のスタッフと共に働きました。

タイの南の方からもボランティアが駆けつけてくれたそうです

フレームにネジ穴を開ける

水害発生から3カ月、多くのボランティアが泥まみれになって復旧作業を進めてきました。私たちもその一員として加わり、連携を深めながら作業を行いました。現場では細かい指示はほとんどなく、「資材を運ぶ」「土砂を取り除く」など目的だけが示されるため、状況に応じた判断と協力が求められました。作業を終えたらどの顔も赤く日に焼けていて、みんなで笑い合いました。

中庭の土砂を掻き出す作業

タイ研修旅行では、生徒たちが現地の方々と自然に交流できる機会を多く設けることを重視しています。本番では教師の介入を必要最小限に留める一方、事前学習では異文化接触の理論や心構えを学び、失敗を糧にする姿勢を育んできました。

子供たちとともに過ごします

言葉が通じない中でも自ら関係を築こうとする生徒、意思疎通に失敗しても再挑戦する生徒など、それぞれの成長が見られました。一方で接触をためらう生徒もいましたが、その経験自体が異文化理解のプロセスです。多様性への理解は、ポジティブな体験だけでなく、ネガティブな感情や試行錯誤を経て深まるものです。

アヌラックさんとトムヤムクンを作ります

プリントしたTシャツを干しに行きます

カレン族の教会でバザーを開催

僕のお兄さん!と慕われる生徒

今回の水害復興にあたり、多くの方々がMKFに支援金を寄せてくださいました。総主事のアヌラック・チャイスリンさんは、「私は一人ではない」と強く感じたと話していました。支援の輪がMKFにとって大きな励みとなったことが伝わってきました。ご支援いただいた皆さまに心より感謝申し上げます。(伊藤 豊)

クリスマスイブ礼拝