【中高バドミントン部】縦の絆を深める3泊4日の校内合宿
バドミントン部の夏の校内合宿を、7月31日(水)から8月3日(土)、3泊4日で行いました。少し緊張した面持ちで13時からのミーティングが始まりました。生徒たちのこの合宿にかける思いを聞きました。この合宿でどんな自分になりたいのかをイメージしてそれを共有しました。
夏合宿は例年ひたすら練習です。食事と練習を繰り返します。昼食前には、これまでの振り返りや今後の意気込みなどを確認して、午後の練習に備えます。今年は、夕方の練習をフィジカルトレーニングに集中し、2時間走りこんだり、腕立てをしたりしました。普段とは異なる練習で、体育館に悲鳴が響きました。夜の練習は、主にOBの方々が来てくださり、試合を行い、真剣勝負を楽しんでいました。現役は勝負に徹します。卒業生も絶対に負けないという意気込みです。見ているこちらもワクワクします。
さて、今回の合宿のテーマは「縦の関係を作る」、「コミュニケーション」でした。一大勢力だった高校3年生が引退し、新しい時代がスタートしました。今年度は、高校生が4名で、中学生が40名という歪な部員構成です。だからこそ、この「コミュニケーション」というテーマはとても重要です。この4人の先輩たちの考えや、これまで引き継がれてきた大切な伝統を後輩たちに伝える必要があります。ただ、言いっぱなしでは伝わりません。ましてや、40人の中学生が相手です。高校生の忍耐や根気がいかに必要かお分かりでしょうか。
合宿を通して生徒たちは、バドミントン部が持つ伝統に触れることができました。コロナ禍を経て、伝統の継承は止まるのかと思いきや、心配するまでもありません。聖学院の部活の良いところは、先輩後輩の関係性が密だということです。高3が中1を教える姿を、他校ではなかなか見ることがないと思います。自分が先輩たちから気にかけてもらったからこそ、自分が先輩になった今、後輩のために時間を使うのです。これこそが私たちの強みです。4人の高校生は、合宿の間、ずっと優しかったです。合宿のメニューは厳しいものでしたが、声掛けが特に優しいのです。怪我をした生徒への配慮は忘れず、迅速に対応してくれます。また、苦しそうにしている生徒がいたら、高校生が率先して声をかけます。この先輩たちは、厳しさだけでなく、教員のような視野の広さを持っています。
物事をはっきりとわかりやすく伝えることができる高1の森下君の声掛けは全くネガティブなものはなく、全てポジティブです。後輩たちが、頑張ろうと思えるものです。縁の下の力持ち的な役割を担うのが永野君です。言動もさることながら、行動で模範を示すことができる素敵な先輩です。高2の蔡君は、後輩のことを知ろうと様々な努力をしていました。また、距離を近づけるためにあえて後輩の話題に合わせて話をしている姿は、とてもカッコよかったです。部長の星君は、責任感あふれるリーダーです。妥協しない練習メニューを企てつつも、中学生の動きをいつも気にしています。また、決断力が高く、臨機応変な対応も難なくこなすことができるスーパー部長です。この高校生たちが合宿の中心にいますので、独りよがりな合宿ではなく、つらく厳しい練習なのにどこか思いやりがある合宿になっています。本当に少ない人数の中、良く引っ張ってくれるリーダーたちです。愛あるコミュニケーションが良い合宿の秘訣であると再確認することができました。
何と言っても、夏合宿の醍醐味はOBたちとの試合です。現役生たちは、このマッチを楽しみにしています。2日目と3日目の夜には、OBたちがたくさん駆けつけてくれました。2日目には、様々な世代から15名程度の方々が現役生の様子を見に来てくださいました。もちろん、OBもバドミントンを楽しみつつ、育ち盛りの後輩たちとの試合に対して真摯に臨んでくれました。今年度はOB会が行われたこともあり、高校を卒業してから何十年も経つ先輩たちが現役生と時間を共にしました。3日目は、比較的、現役生に近い先輩たちが顔を出してくださいました。現役生がアドバイスを求めると先輩たちは絶対にいやな顔をせず、本気で応えてくださいます。
何十年前にも、きっと同じように、先輩が後輩を教えるという習慣があり、それがいつの間にか伝統になり、バドミントン部に所属していれば、誰もがその空気をわかっていて、この素晴らしい伝統が受け継がれていきます。その光景を見ることができるのがこの夏合宿です。各世代の印象的な生徒が集まるこの合宿は、顧問からすると、時代を跨ぐオールスターを見ているかのようです。このようにOBが戻ってくるのが聖学院です。私自身は、母校で、後輩のために何かをしてあげようだなんて考えたこともありません。しかし、お世話になった聖学院に戻りたい、後輩のために何かをしたい、そのように思わせてくれる魅力が聖学院にはあるのでしょう。
最終日のミーティングでは、生徒たちがこの合宿を振り返りました。充実したものになったようです。皆が成長を実感していました。何よりも先輩たちから受けたアドバイスをいかに今後に生かすか考えている姿が印象に残りました。また聖学院の良い伝統が後世に伝わっていくと確信させてくれました。世代を超えるコミュニケーションがバドミントンの実力だけでなく、人としても幅を持たせてくれるものだと信じています。(顧問:福地修二、伊藤大輔、福井純平)