【高2社会】商品開発に挑戦!テーマ「伝える・伝わる」の集大成
高校2年社会科の「現代社会探究」では、教師からの一方通行ではない、生徒間での学びあいをベースとしたアクティブラーニングを展開しています。この授業では、定期考査などのペーパーテストでは測れないジェネリックスキル(汎用的能力)の獲得、学びのモチベーションの向上を目的としています。
3学期は「コンセンサスをはかる」を重点にし、様々な方法で表現をしました。今回は、現代社会探究の最終単元である「商品開発に挑戦しよう」という授業を紹介します。
2学期にも授業で協力をしていただいたNPO法人日本教育再興連盟(ROJE)の方々と再度連携しました。現代社会探究の大きなテーマである「伝える」と「伝わる」の違いを大切にし、「身の周りにある「伝わらない」を支える商品」を構想しました。全4回の授業で構成され、2回目にはアルファサード株式会社の代表取締役である野田純生氏をお迎えし、アルファサードで取り組まれている事業とその背景にある熱意などをお話しいただきました。
アルファサードは「伝えるウェブ」という事業に取り組まれています。日本語の読解に困難がある人に対し、既存のウェブサイトの文章を一瞬で柔らかい日本語に書き換えたり、ルビを振ったりするなどして読みやすさを向上させるサービスを提供しています。公立学校のホームページや自治体のホームページ、朝日新聞などで採用されています。困り感を抱えている人に対し、どのようなアプローチをすることでその障壁を取り除くか、野田氏の熱い思いを語っていただきました。
活動の時間には各班にROJEの大学生が付き、丁寧なファシリテーションを行っていただいた結果、アイデア発想からプレゼンの方法まで、短い授業時数の中でも生徒たちは高いパフォーマンスを発揮しました。ある班は、肯定的な意味も否定的な意味も同じ言葉が持ち、それがどう解釈されるかでトラブルが発生するという日本語の特性に着目し、その不自由さを解決するアイデアを提案しました。「今日雨降っているから、車で迎えに行こうか?」という問いかけに対し「いいよ。」と答えた場合、「(迎えに来なくて)いいよ」なのか「いいよ(お願いします)」なのか、受け取り方で意味が全く変わってしまいます。このようなコミュニケーションの壁を取り去るアイテムを構想しました。今回はアイデア発想に留まりましたが、この授業をきっかけとして、「伝わらないこと」に壁を感じる人がいるということに気づき、意識が向くようになれば嬉しいです。
今回で今年度の現代社会探究の授業はすべて終了しました。さまざまな分野で輝く活動をされている方々をお招きして「本物」と触れる経験や、「自分は何者で、それをどう表現するか」などを掘り下げ続けた1年間でした。この経験は近くでは受験における面接試験や志望理由などで、長期的には自分をアピールする手段の拡大として役立てることができます。近年は総合型選抜を含め受験の方法が多様化しています。自分を見つめ、強みを把握し、それを適切に発信することができる人になってほしいという願いを生徒たちは受け止め、たくましく成長しました。(担当:伊藤航大)