姜尚中先生による特別授業「君たちはどう生きるか」が開催されました。
5月10日(金)、高校Ⅰ・Ⅱ年生を対象に、姜尚中先生(聖学院大学全学教授)の特別授業が開催されました。
姜先生は350人の生徒を前に、「君たちはどう生きるか」というテーマで、ご自身が高校生だった頃のこと、国籍の問題、夏目漱石と自分との接点、“青春”と呼ばれる時期の思い出から、人生論に至るまでを語られました。
特に、「君たちに対して、“青春=無限の可能性が広がる”などと空々しいことは、私には言えない。自分は青春時代、もやもやした力を制御できなかったり、外界との接触を拒んだりした。しかし、人生は砂時計と似ていて、未来の砂は、確実に現在という、くびれを通って過去に流れていく。君たちにも16、17年という過去が、確実に存在するのだ」という話に、生徒は引き込まれていきました。
授業後、生徒から、「“国籍の壁”という苦難から得た糧とは何ですか?」、「これからの夢はなんですか?」といった質問の手が続々と挙がり、先生は、ひとつひとつの質問に制限時間ギリギリまで丁寧に答えてくださいました。
高校Ⅰ・Ⅱ年といえば、「自分とは一体何者なのか?」、「自分は何のために生きるべきなのか?」という、人間存在の根源的な問題について考え始める時期です。今回、先生からいただいた言葉は、10年後、20年後の彼らを支える、確かな礎になったと思います。
以下に、生徒の感想をいくつか紹介します。
「人生を砂時計に例えていることに興味を持った。自分も、まさに今が砂時計のくびれの時期だ。」「今は悩む時期だと思って徹底的に悩みたい。」
「すべてのことを、あたりまえと思わず、ひとつひとつに喜びを感じたい。」
「“過去”という、落ちた砂を大切にしたい。」
「人間は、常に外の物事のみなならず、自分とも闘っているのだと感じた。」
姜先生の最新著書『心』では、大学生と先生とのメールによる往復書簡という形で、「生きることの意味」、「死を受け入れる意味」という、人間にとっての哲学的で永遠の命題が語られています。これを機会に、先生の著作に触れてみてはいかがでしょうか。
尚、この授業は、保護者にも公開されました。