【中・高バドミントン部】4年ぶりの夏合宿(7月31日〜8月3日)
学校で寝泊まりをする今回の合宿は、最上級生の高2たちも経験がなく、4年前、中1だった彼らは通いで参加していました。そういう意味で、今年の夏合宿は新しい時代の幕開けの予感がし、部員たちだけでなく、顧問たちもワクワクしていました。
今年度の合宿の目標は、「縦の関係を作る」、「怪我をしない」というシンプルなものです。コロナ禍にあって、声を出してはいけないという制約は、当たり前だったことがことごとくできなくなりました。練習や試合での声出しができなくなり、縦の関係、すなわち先輩後輩の交流がほとんどなくなりました。聖学院の部活の良いところは、先輩後輩の関係性が密だということです。高3が中1を教える姿を、私は聖学院に来るまで見たことがありませんでした。自分が先輩たちから気にかけてもらったからこそ、自分が先輩になった今、後輩のために時間を使うのです。それが最近はどこか希薄になっていたため、縦の関係を再構築することを目標としました。また、部活動の自粛や時間制限により体力的な不安があり、怪我をしないという目標を立てました。以前の合宿であれば、当たり前過ぎて目標にもならないかもしれません。しかし、一度、壊された文化を元に戻すのではなく、原点からスタートすることを通して、新たな文化を構築することを願って掲げた目標です。
久々の合宿で心配していたこともたくさんありましたが、大きな困難もなくスムーズに進めることが出来きたのは、高校生たちが力を合わせて考えた「怪我をしないための練習メニュー」が、鍵を握っていたからです。必ずしも先輩が主導権を持っているわけではなく、むしろ後輩が中心となり、メニューが作られていました。先輩だから、偉そうにするのではなく、後輩の方が自分よりも優れている部分があるならば、その重大な職務を任せるという姿に新しい時代を見ました。簡単にできることではありません。従来、先輩たちが作ったメニューに対して深く考えず、場合によっては不満をもって取り組む生徒たちもいましたが、今回は、後輩が考えたメニューを本気で、楽しそうに、先輩たちが取り組むので、中学生も頑張って取り組むことが出来ました。任せたからには、信頼して取り組む先輩の姿と、リーダーシップを発揮する後輩の姿の融合が新しい聖学院のバドミントン部を作っていくのかもしれません。この新しい分業制が、自然と縦の関係を作っていきました。
具体的な試合に向けての目標(大会で〇位になる、など)があり、それに向けて緊張感を持ちながらの取り組みも、部活が団結する一つの方法です。しかし、新しい部活の団結力を生み出したのは、多様性を受容するリーダーたちの姿です。また、受容するだけでなく、実践する先輩の姿です。この新しい縦の関係の構築の裏には、スクールモットー(Only One For Others)にも通ずるところがあり、成長を伺える素晴らしい合宿でした。彼らの次の課題は、多様性を認めつつ、この集団をどのようなチームにしていきたいのか、明確に示していく必要があると思います。
この合宿で新しく生まれた伝統を大切にしながらも、同じ目標を目指していくことのできる部活に成長していくことに大きく期待したいと思います。(顧問:伊藤大輔)