【高校卒業式メッセージ】あなたは地の塩、世の光。
マタイによる福音書5章13~16節 地の塩、世の光
卒業にあたって聖書を選びました。
あなたは地の塩、世の光。
塩。
人の命にとって必要なもの。
光。
闇を乗り越える希望。
これがあなただとイエス様は言います。
これは宣言です。
何かをしたから塩になれる、光になれる、という取引の言葉ではありません。
何をしようが、あなたは塩です。
何もしなくても、あなたは光です。
もうひとつパウロの言葉を紹介します。
「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」
イエス様と同時代を生きたパウロの言葉です。
このパウロはイエス様が大嫌いでした。
イエス様の言っていることが分からなかったからです。
信じられなかったからです。
自分に足りないものを補ってこそ人生だと思っていたからです。
功績、成績、富、権力。
自分にないものを獲得して私は私になっていく。
パウロはそう信じていました。
恐らく私たちもそうです。
自分にないものを補って立派になっていく。
自分以外のものが大切だ。
皆さんはコロナ禍で高校生活を過ごしました。
学校行事が次々に中止になっていく。
登校すらできなくなった。
どうして自分たちはこんな目に合わなければならないのか。
今日は3月11日。
12年前、東日本大震災が起った日です。
2万人以上の命が奪われました。
今も3万人の人々がその影響を受けて普通の生活が送れないでいます。
どうして自分たちがこんな目に合わなければならないのか。
不条理です。
喉に何かがつまったような、どうしていいのか分からないもの。
吐き出すことも、飲み込むこともできない。
どんなに考えても答えが見えない。
忘れようとしても忘れられない。
いつも意識させられ、心が乱されてしまうもの。
不条理。
この不条理をどうすればいいのか。
不条理は自分以外のものです。
自分以外のものが自分に貼り付いてどうしようもない。
自分以外のものを集めれば自分が立派になれる。
そう信じていたパウロはある時、気が付きました。
大嫌いだったイエス。
分からなかったイエスの言葉。
それは不条理と向き合う言葉だと。
あなたは地の塩、世の光。
宣言。
自分以外のものを貼り付けて進もうとするのではない。
自分以外のものにすがり付けばいつまでも不条理と決着がつけられない。
自分に備わっているものに気が付き、それを磨いて自分になる。
Only One
自分の賜物
それを輝かせる。
心がそこに落ち着いたら自分に貼り付いていたものがきっと落ちます。
喉に貼り付いていたいつでも心が引っ張られていたものがストンとお腹におさまります。
おさまって私の力になります。
「ああ、そういうことか」
それが分かった時のパウロの言葉が
「いつも喜ぶ。いつでも祈れる。どんなものにも感謝できる」
「喜ぶ」「感謝できる」
これらを別の表現に置き換えるならばなんとなりますか。
「幸せ」でしょう。
私たち聖学院はあなた達に幸せになってもらいたいから教育をしてきました。
Only One
本当の自分に気が付く。
それが人の幸せだと信じて聖学院を歩んできました。
聖学院
聖学の院
聖学、聖人になる訓練。
聖人、本当の自分に気が付いたもの。
幸せなもの。
そのものは他者をも幸せにできます。
それは平和を作るということです。
私たちは聖学院です。
聖人になる訓練を受けたものです。
聖人になるための私たちの歩みは続きます。