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クリスマスの準備を始めましょう(12月5日全校礼拝にて)

ルカによる福音書1章26~38節

六か月目に、天使ガブリエルは、ナザレというガリラヤの町に神から遣わされた。ダビデ家のヨセフという人のいいなずけであるおとめのところに遣わされたのである。そのおとめの名はマリアといった。天使は、彼女のところに来て言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」マリアはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだ。すると、天使は言った。「マリア、恐れることはない。あなたは神から恵みをいただいた。あなたは身ごもって男の子を産むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方の子と言われる。神である主は、彼に父ダビデの王座をくださる。彼は永遠にヤコブの家を治め、その支配は終わることがない。」マリアは天使に言った。「どうして、そのようなことがありえましょうか。わたしは男の人を知りませんのに。」天使は答えた。「精霊があなたに降り、いと高き方の力があなたを包む。だから、生まれる子は聖なる者、神の子と呼ばれる。あなたの親類のエリザベトも、年をとっているが、男の子を身ごもっている。不妊の女と言われていたのに、もう六か月になっている。神にできないことは何一つない。」マリアは言った。「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように。」そこで、天使は去って行った。

 

今年もクリスマスを迎える季節になりました。
クリスマスは何をするのか。
クリスマスを迎えるために私たちは何をすればいいのか。
聖書の物語から考えてみたいと思います。

ルカ福音書のクリスマス直前の物語を読みました。
天使ガブリエルがマリアに男の子、イエス様をもうすぐ宿すよ、と告げに来る物語です。
実はガブリエルはこの半年前、別の家族、ザカリアとエリサベト夫妻のところにも赴いて、あなた達に子供ができると伝えています。
ルカ福音書が語るクリスマスの物語はふたつの家族の物語なのです。
そして、このふたつの家族は時間を代表している人々でもあるのです。

時間
これをみなさんはどのように考え、整理をしているでしょうか。
多くの民族が時間を大きく三つに分けているようです。
「過去」「現在」「未来」です。

ルカ福音書のクリスマス物語に登場してくる家族もこれに対応しています。
ザカリア、エリサベト夫妻。
この夫妻は「過去」に対応しています。
歳を取った二人にはこれまで子供が与えられませんでした。
子供ができる。
それは過去に終わったことです。
今の自分たちとは関係にないことでした。
そこにガブリエルがやって来て、子供が生まれると告げます。
後の洗礼者ヨハネです。

この夫婦は最初それが信じられませんでした。
そんなことがあるはずがない、と。
この夫婦はどうしてそう思ったのでしょうか。
過去に支配されているからです。
過去には起こらなかった。
それはもう過ぎてしまったこと。
それが今日の現実だと。
「過去」を生きているのがザカリア、エリサベトです。

マリア、ヨセフ、この二人は「未来」と対応している者たちです。
子供ができると告げられる。
ですが、マリアはまだ結婚もしていません。
やがて子供はできるかもしれないが、それは未来のことだと思っている。
「どうしてそんなことがありえましょうか」
マリアの言葉の根底にあるのは未来ならば納得がいきますが、今ではないですよね。
未来はこういうもの。
未来についてのしっかりとしたイメージがありました。
未来に支配されているものでもあります。

ガブリエルがふたつの家族に告げたこと。
子供が生まれる。
それは過去、未来の否定です。
過去は過去としてあるのは分かる。
だが、それは今とは関係ない。
未来を未来として想定しているのは分かる。
だが、それは今とは関係ない。

私たちのものの考え方は過去、未来と連続しています。
あの時、失敗したから自分はこんなものだ。
あの時、ほめられたから私は立派なものだ。
今度の試験はうまくいくのか。
大学にはちゃんといけるのか。
ちゃんと生活ができる大人になれるのか。
これらは全部、過去と未来に支配された考え方です。
聖書が示している時間の過ごし方とは違います。
過去、未来に心を持って行かれるな。

過去、未来
これに支配をされていては今、自分が何をしたらいいのか見失います。
Only One
これを見つけるのも同じです。
過去、未来に支配をされたところで「これが私」と思っても、それは誰かに利用されているだけの私です。
本当の私ではありません。

本当の私に出会う。
私の使命に、私だからできること、私がしなければならないことに出会う。
その出会う仕方はマリアが語った最後のセリフにあります。
「お言葉通り、この身になりますように」
私の言葉を捨てます。
私の思いを、私の心配を捨てます。

捨てる。
私が見なければならないものが見えてきます。
神様が与えてくださった私の賜物。
本当の私。

クリスマスに何をするのか。
過去、未来、そこに奪われている心を今に取り戻す。
今、本当の時。
心を今に留める。
クリスマスの準備を始めましょう。