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【中1GIL】「観察力」で日々のモヤモヤを吹き飛ばそう!

自分の手をよく観察して描く

GIL(Global Innovation Lab)では「デザインのとびら」の皆さまをお迎えし、9月10日(土)、17日(土)、10月22日(土)の3日間、ワークショップを行いました。このワークショップでは、「観察力」をテーマに、ルーティンの毎日の中からどのように新しい発見を得るための視点を持てるか、ということについて学びました。今回の記事では、そんな「観察力」を起点に日常を面白くする視点を獲得するワークショップをレポートします。

「デザインのとびら」の皆さまによるワークショップ

【Day1】
Day 1では、今回の主テーマである「観察力」とは何なのか、その基本的な考え方の理解を促すワークを実施しました。
最初に行ったのは、聖学院の学校の周りを撮影した1分程度の動画を見ながら見つけたものを全て書き出すというワークです。普段よく知っているような風景も、実は私たちは「知っているつもり」になっているだけで、実際のところは認知できているのはほんの一握りの情報でしかないことに気付かされます。
次に自分の「手」をモチーフに、よく観察しながら描いてみる、というワークを実施しました。このワークでは、誰もが普段見慣れている「手」というモチーフを使いながらも、身近であるが故に、「手とはこういうもの」という思い込みがいかに観察を妨げているか、ということに気づきを得る事ができます。
観察力とは「日頃から問いを持てるようになる力」とも言えます。このことは、これまでのように正解を解答することを訓練する学習ではなく、自ら問いを立てられる力を養うというSTEAM教育の概念にも通ずるものです。

上手く描くのではなく、観察して描くことを優先

同じ「手」はなく、手の筋や骨、形、肌の質感を描きます

【Day2】
Day2及びDay3では、「観察力」を通して発見した身の回りのモヤモヤから課題を立て、最後にはその課題を解決する商品のアイデア創出までを行いました。まずは身の回りのモヤモヤ探しを行い、日頃の生活の中から各自の視点で自由に「モヤモヤ」を書き出していきました。
最初のステップは、モヤモヤの原因について考えていきます。例では消しゴムがなくなる、というモヤモヤについて、転がりやすいこと、落とした時に音がしないので気づきにくいことなどが挙げられました。
次のステップでは、見つけた原因をもとに、問いを立てていきました。例えば、「どうしたら消しゴムが机から落ちたことに気づく事ができるだろう?」のように、「どうしたら〜できるだろう?」という文章のかたちで問いを書き出していきました。
最後のステップでは、設定した問いに解答するかたちでアイデアを考えました。誰もが導き出した問いを起点にアイデアを考えつく事ができるプロセスを学ぶことで、クリエイティビティとは一握りの人が持っているものではなく、誰にでも備わっているものである、という事が示されています。「消しゴムが机から落ちると地面に設置した瞬間に音が出る消しゴムケース」などが発表されました。

「モヤモヤ」を書き出して仲間に説明

「モヤモヤ」の原因をみんなで究明して解答を導く

【Day3】
最終日には、創出したアイデアの発表会を開催するにあたり、これまでの内容を5コマ漫画で作る作業を行いました。アイデア創出に至る4つのプロセスを5枚の紙でステップに分けて説明できるようにする、というものです。人に伝える事ができることを重視した、実際のデザイナーならではの視点での発表準備となりました。
また、もう一つ特徴的だったのは聴く側の心構えも示されたことでした。どうしても発表する方法だけに視点が行きがちですが、発表を通してさまざまなフィードバックを得る事が、アイデアをさらに良くしていくためには非常に重要です。そこでアイデアを聞く時の態度も合わせて示されることで、発表して終わりではなく、全体の発表が終わる最後までみんなが役割を持って取り組むように推奨されました。 

アイデア説明する様子

5コマ漫画制作中!

聞く側の姿勢も大事

今回のように、アイデアを生み出し、それを人に伝え、また自分のアイデアについて仲間からコメントをもらうというのは、子どもたちにとって得難い機会だったはずです。特に今回は三人のデザイナーと、多くの大学生のサポーターが真剣に一人一人に声をかけながらサポートする事で、アイデアを産むことが得意な子も、不得意な子も、それぞれ自由なアウトプットの創出につながったと感じます。
自ら問いを立てる事ができるようになる力は、これからの不確実性の高い世の中で活躍できる力として非常に重要視されています。今回のワークから得られた気づきをさまざまなところで活用していただけることを期待しています。(GIL担当:山本 周)