【中1国語1】ポップを作ってビブリオバトル
【学年のコンセプト】
本年度、中1の国語科では「本を紹介し合う学年」を目指して授業を展開しています。生徒同士や教員生徒間などはもちろんのこと、ゆくゆくは保護者の方にもご紹介いただきたいと考えています。このテーマの実現に向けて、春休みには入学準備課題として読書課題を出していました。その時は、単に自分の好きな本を選び、図書館発行の読書カードに記録をするだけでした。
【夏の課題とつなげて】
1学期を通して、「この学年の生徒は本をよく読む」と感じました。夏休みに読書課題を出すことは決めていましたが、今回はただ読んで終わる課題にしたくはないと思い、生徒相互に本を紹介し合う「ビブリオバトル」と、活動を形として残すため「ポップ制作」を二学期の授業で行うこと決めました。
ビブリオバトルは「人を通して本を知る。本を通して人を知る」を目的とする書評合戦のことです。今回は「生徒たちが自分で選んだ本を夏休み中に読み、その紹介文を書く」という夏休みの課題を出しました。紹介文は二学期のビブリオバトルで使用するためのものです。いわゆる書評を自分で書き、それを学習のポートフォリオとして残しつつ、同級生に魅力を伝えます。各自が本を持ち寄り紹介して、その中で一番読みたいと思った本に投票をします。最も多く票を得た人が優勝です。
これが基本的なビブリオバトルの流れですが、今回はもう一つの要素を活動に加えました。それが「ポップ制作」です。本の魅力を伝えるとき、どうしても「喋るのが得意な人」に票が集まりがちです。しかし、本の魅力を伝える手段はなにも文章や発表ばかりではありません。書店に並ぶ見事なポップも、本の魅力を伝える方法の一つです。もしかすると、喋るのが苦手な生徒や紹介文を書くのが苦手な生徒でも、ポップならばうまく伝えられるかもと思いました。そこで、夏休み明けはビブリオバトルの前にまずポップをつくる時間を取りました。生徒の中には、実際のビブリオバトルよりもこちらのほうに力を入れていた人もいたようです。
ポップを魅せながら本を紹介する変則ビブリオバトル。こんな形もありかなと思いました。
【魅力的なポップ作品】
各クラスの優勝作品は、既刊の学年通信やホームページで表彰しました。ただ、今回は非常にレベルの高い作品が集まったため、すばらしい作品でありながら予選落ちとなってしまった作品もたくさんありました。というのも、ただポップが上手いだけでは予選通過はできないからです。本の内容をわかりやすく要約し、核心の部分は隠しながら作品を批評する紹介文が必要であり、また実際にそれを語るスピーチ力も求められます。惜しくも優勝を逃してしまった作品の中から、ここでいくつかの佳作を紹介したいと思います。
正直、ポップの魅力を100%体感してもらうには、実物を見てもらう他ないと思っています。例えば「絵が魅力的な作品①」のポップは画材にクレヨンを使用しており、重厚な感じに仕上がっています。「型にはまらない独創的な作品②」の下の部分は切り絵になっており、古代都市を紙の切れ目で表しています。これらの魅力は画面を通すと半減してしまいます。HPで紹介するにあたり、これだけが心残りでした。
【今後の課題】
私は昔から「読書感想文を書く」課題を好きになれませんでした。個人の感想を評価する基準が曖昧だと感じていたからです。また、個人の感想を共有しても趣味的な時間になってしまい、学習とつなげにくいとも感じています。ですからもし自分が生徒に書いてもらうなら紹介文、すなわち「書評」と決めていました。きちんとした文章を書くために、今年のサマーセミナーでは「文章力向上」を目標に記述トレーニングを行いましたが、文章力は一朝一夕で身に付くものではありません。本の魅力を伝える手段はこれからも多様化していくと思いますが、まずは紹介の骨組みである「書評」を上手に書けるよう訓練していきたいと考えています。(中1B担任・国語科:上杦祥平)