【シリーズ:聖書の思考回路】第7回
「定言命題」「仮言命題」
これらが聖書の中でどのように展開されているか。
ここからは、そのお話しをいたします。
最初に扱いたいのは聖書の一番最初「創世記」です。
「創世記」はこの世界の始まりについて記されているものです。
ここには聖書の考える「世界観」が記されてあります。
世界とは何か。
世界とはこういうものですよね。
という世界観です。
余計なこととも思いますが、混乱を防ぐために申します。
科学の語る世界の始めと創世記の語る世界の始めは違います。
どちらが正しいのかに興味を持たれる方もいますが、科学が語るのは「どのように世界が出来たか」です。
聖書が語るのは「世界とは何か」です。
世界の出来上がる様子と題材に世界観を語っていますから世界がどのように出来たかを語っていると感じられても仕方ありませんが、聖書が読者に期待している読み方は、ここから世界を考えて欲しいという訴えです。
世界とは何か。
それを記している創世記から読み始めることにいたします。
創世記の始めには「創造物語」が記されています。
1章から4章までがこれにあたります。
ここに「定言」「仮言」
その両方がしっかりと登場します。
結論を先取してお伝えするならば
創世記の1章、2章は定言命題です。
3章、4章は仮言命題です。
どこにそんなことが書いてあるのか。
それをご説明いたしましょう。
創世記1章
神様が世界を造り上げていく様子を記した物語です。
7日間で神様は世界を造りました。
各日ごとに造られるものがだんだんと増えてきます。
増えてきますから、物語に登場してくるものも変わってきます。
物語が進むということは変化していくということでもあります。
その変化していく物語の中で、変わっていないものがあるのです。
神様は世界を造られる時に物語は同じ言い回しをします。
それは次の言葉で表されています。
「神は言う」
「そのようなった」
「良しとされた」
この三つです。
たとえば神様が「光」を造る時
神は言われた。「光あれ」
そのようなった。
神はそれを見て良しとされた。
という具合です。
この三つの言葉を繰り返し用いながら創世記の1章では世界がどんどんと形造られていきます。
物語が進行、変化していっても変わらないものがある。
それはおそらく物語の構造を垣間見させているものです。
三つの言葉。
ここに聖書が考える世界観が秘められています。
そしてここに定言命題
私たち聖学院が大切にするOnly One のヒントも隠されています。
次回、このことについてお話しいたします。