2021年度入試を迎えるにあたって
二度とない人生をいかに生きるか?
私の尊敬する哲学者であり教育者であった森信三は「人生二度なし」という著書の中で「職業を通して社会に尽くす」ということについて、次のように述べています。
「人はその職業の選択に当たっては、なるべく自分の素質、天分の発揮しやすいような職業を選ぶと共に、全力を傾けてそれと取り組む日々を送ることは人生の秘訣であって、その時、結果的にはなるほど無限の間接さにおいてではあるにしても社会のためになっているのであります。」
先日、高校二年生の学年通信にある教員の興味深いお話が掲載されていました。テーマは「好きなこと」。
「私は、幼稚園の頃から書道を習い始めました。中学受験のため に小学四年生で一度書道をやめました。中学生になったときに習い始めたものの、また休むことになり、高校になってからまた習い始めました。高校二年生の時、学校の選択授業で書道を選びましたが、なぜかその年だけ希望者が二人しかおらず、開講できないと言われ、書道の先生に何回も、『なぜ書道を開講してくれないのか』と尋ねたところ、書道部に入ることを勧められました。この体験が私の人生を変えたのかもしれません。それまでは、将来何になりたいかは決めていませんでしたが、高校時代の書道の恩師のおかげで、将来何をすることで社会の役に立つことができるのだろうか と考え始めました。その時に、自分の特技である書道で人のために働き、多くの人に書道の楽しさを伝えるために教員になりたいと考え始めました。・・・
書道を通して、学ぶことの楽しさを知り、作品の出来た時の達成感を味わうことができました。この恩師の影響が大きく、自分もこのような教員になりたいと思いました。
ある時、書道がうまくなるためにどうすればいいか、ということを、書家の方にうかがったことがあります。すると、その方は、『好きであることが最上の師である。』と教えて下さいました。物事は、何よりも好きであることが大切であると実感しました。みなさんも何か一つでもいいので、全力でできる好きなことをみつけてください。そこから何か道が開けるかもしれません。」
実は私も、小学校6年の時、大の苦手であったローマ字の特訓をしたお陰で、中学の英語が好きになり、いつの間にか英語が得意科目になり、英語を教える職業に導かれました。
本当に「好きこそ最上の師」ですね。