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受験生のみなさまへ 聖学院新春メッセージ

道は通じた!―― タイ研修座談会


前列左から 飯村君、川口君、秋田君、山口君
後列左から 伊藤先生、山口校長

始業式の礼拝終了後、山口校長、そして引率した伊藤先生は、昨年末9日間のタイ研修旅行を終えて帰国した生徒と座談会を開催。タイ研修旅行で持ち帰ってきたそれぞれの想いが語られました。

山口校長 やあ、お帰りなさい。今朝の始業式で、「どうか、あなたの道を示し、あなたをわたしに知らせ、あなたの前に恵みを得させてください(出エジプト記 33章 13節)」という聖書の言葉について語ったけれど、道は通じましたか。

一同 はい、通じました。

山口校長 おお、みな即答ですね。

伊藤先生 『タイ研修旅行』は、鮮烈な経験だったと思います。生徒たちとって、自己変革のきっかけとなったと思います。その様子を私も共に感じてきました。少数民族との交流や彼らの生活を支援するリーダーたちとの出会いは、多感な時期にいる彼らにとって大きな意味をもったようです。

山口校長 本当にそのようですね。コロサイの信徒への手紙( 3章 10節)に、「造り主のかたちに従って新しくされ、真の知識に至る新しき人を着たのである。」という言葉がありますが、皆さんはまさに「新しき人」となってきたわけですね。今日はタイ研修で得てきた想いや意志を聞かせてください。

秋田君 僕は、将来を考え、世界の人々がどのような生活を送っているかということを自分の目で見たかったのです。そしてタイはもっと田舎だと思っていたのですが、予想以上に発展していて驚きました。世界には自分たちとは異なる生活をしている人がいたことを見ることができ、よかったと思います。自分の生き方に影響している国境なき医師団の活動現場がどういうものか少しわかったような気がします。

山口君 沖縄平和学習で現地の学生と交流したときに、とても楽しかったため、文化の異なる人とたちとの交流はもっと刺激的ではないかと思ったのです。期待していた通り、とても明るく楽しい人たちの国でした。衛生面やその他の不便さもありましたが、それ以上の豊かさを感じました。もちろん、途上国の厳しい現状の前でいろいろ感じました。

川口君 実は親と友達に誘われたからという理由で参加したのです。行く前は偏見でしかものを語れなかったのですが、行ってみて、行ってもいないのにそういうことしか考えられていなかった自分を悔い改めました。タイに触れずにものを語るというのは本当に失礼なことを考えていたと思います。そう思わせるだけのものがたくさんあったのです。

飯村君 僕も前に行った友達に楽しかったと言われ、特にきちんとした理由があったわけではなかったのです。しかし、「楽しさ」だけを求めていった自分の中に数えきれないほどの心情が生まれました。教育を受けられることの有難さ、毎日食べものを満足に食べられることの有難さ。こういうことは、心の中ではわかっていても、どうしても忘れてしまいがちのものです。でも、今回の体験でその有難さが脳裏にやきつきました。

山口校長 体験を通して、何か確固たるものを抱いてきたことを話すみなさんの姿は輝いています。涙腺がゆるんでしまうほどです。

山口君 いっしょに行ってくださった生田先生も瞬間瞬間、涙を流していました。

秋田君 意味のある涙でした。

飯村君 ただ見守っていてくれるというだけの意味ではなかったと思います。

川口君 生田先生の涙には、現状の凄まじい悲しみとか僕らの成長とかではなく、もっと違うものを感じてくれていたような気がします。

伊藤先生 本当にそうですね。その感じたもの、先ほど山口君もいろいろ感じたと語っていたけれど、そのことについて教えてくれますか。

川口君 ラオスで観光が済み、いざ船まで戻ろうとしたら、十数人の子どもたちが「お金をください」と懇願してきたんです。それはもうとても必死にお願いしていました。そのとき間違えてポケットから20バーツを出してしまい、そうしたら一斉にみんなが私のところに集まってきました。きっと私がお金をくれるだろうとカン違いしたのだと思います。そんな子どもたちのことをオチョクッタ形になってしまい、私は嫌な気分になりました。みんな必死にお願いしているのに、それに何もできない自分も嫌でした。

山口君 本当にショックでした。罪悪感みたいなものがこみ上げてきました。

秋田君 日本では見ることのない光景で、インパクトがありました。そして無力感にさいなまれもしました。

飯村君 ふだんは感じないけれど、エゴイズムを感じ、なんとかしなければと思いました。

山口校長 その痛みを感じたという体験は大切です。そこから何かが変わらなくてはというみなさんの想いも。神様も一緒にタイに行っていたのです。つねにあなたたちの顔を見ているのです。その先のみなさんの想いをもっと聞かせてください。

飯村君 たしかに本当にたいへんな現状だったのすが、その現状をなんとかしようとしている人や自分たちの文化の良さを世界に伝承しようというプロジェクトを実現している人たちに出会って感動しました。戸邉先生、アリアさんとかたくさんの人に話を聞くことができました。みんな自分の限界を作らない人たちで、尊敬しています。僕も、自分に満足しない大人になるということが大切だと思いました。そのためには「とにかく1つ夢を作る!!」ことだと思っています。