10月27日実施 思考力セミナーのお知らせ
Ⅰ「思考力セミナー」開催のお知らせ
2012年10月27日(土)学校説明会で、新しい入試「思考力テスト」(2月2日実施予定)の対策講座「思考力セミナー」を開催します。最近の中学入試問題は、知識を学んだ力だけではなく、考える学ぶ力や学ぼうとする力まで深く探求する問題が出題されます。聖学院でも特待選抜入試において、考える力にチャレンジしてもらう問題を開発してきました。
その開発の創意工夫によって、考える意欲や考える力をストレートに試す問題を作ることができるようになりました。この思考力は、国語や算数、社会、理科でも必要とする力であることは言うまでもありませんが、今までは、どうしても知識を覚える問題の背景に隠れていて、中々その力を測ることができませんでした。
しかし、今回の「思考力テスト」で、「知識を覚えるのは苦手だけれど考えることならまかせて!」という才能を発揮してもらうことができるのです。
そして、おもしろいことにこの思考力がフルに発揮できるようになると、覚えにくかった知識もどんどんリンクしていきます。すなわち、「思考力セミナー」で考える力を積極的に学ぶことによって、他の教科の学び方もパワフルになるのです。
ぜひ参加してみませんか!
Ⅱ日 時:2012年10月27日(土) 10時20分~11時30分
Webでの事前申し込みが必要です。お申し込みは以下のリンクをクリックしてください。
※思考力セミナーの指導担当は、本校教員と東大生フェローを行っている東京大学の学生となります。
※10月27日の説明会では、思考力セミナーと授業体験を実施いたします。実施時間をずらして行いますので、思考力セミナー・授業体験両方の受講が可能となっております。
Ⅲ「思考力セミナー」の特色
①毎回教科が違うモチーフ(素材)を用意。
②モチーフが違っても、思考・論理・表現のプロセスは同じです。
③したがって、どのようなモチーフに出会っても、考えることができる能力を養えます。
④教科横断型とは、思考のプロセスがクロスカリキュラムとして機能する場合と互いにリンクし合う異分野のモチーフを扱う場合とがありますが、「思考力セミナー」で扱うのは「思考のプロセス」によるクロスカリキュラムです。
⑤「思考力セミナー」で学んだプロセスは、そのまま「思考力テスト」で活用されると同時に、国・算・社・理の問題を解くときにも、知識を記憶する時にも有効な学びです。
※「思考力セミナー」で記入したワークシートは、いったん回収し、チュータがアドバイス・メッセージなどを書き添えて、後日返却します。
第2回思考力セミナーは32名の参加者で行われました。「一文の〈意味〉を考えよう」と題し、物語文をさらに楽しむ方法を参加者の受験生(6年生)と学びました。
物語文の作者は、一つひとつの言葉をよく選んで用いています。細かい部分をあまり気にせずにストーリーを楽しむことも大切ですが、作者の言葉の選び方に着目すると、物語をより深く味わうことができます。ちょっとした言葉の選び方に、登場人物や作者の心情が表れていることが多いのです。
まずは「発見体験」。「2つのコツ」について説明しました。コツを使うと今まで見落としていたことが見えるようになります。
1 ある言葉をかくしてみよう~その言葉があるのとないのとでは、意味はどのように変わりますか?
2 似た言葉に置きかえてみよう~似た言葉に置きかえたとき、意味はどのように変わりますか?
セミナーでは「腰かける」と「座る」のちがいを実演して見せました。作者は「座る」とせずに「腰かける」という言葉を選ぶことによって、登場人物の不安定な心情をそれとなく示しているのです。細かい部分に目を配れるようになると、登場人物の気持ちが生々しく伝わってきます。
コツを説明したところで、今度は自分で試してみます。課題文の作者は本校の高校3年生、石渡海里君です。タイの街角で物乞いの親子に遭遇したときの様子を描きました。
自分の気に入った文を選び、2つのコツを使って自分なりに解釈します。一文に集中し細部まで読み込みます。新しい方法での読み、これが「発見体験」です。発見したらすべてワークシートに記入します。正解・不正解にとらわれないように答えてもらいました。筆が進まない人にはアシスタントの大学生がアドバイスします。
次は「シェア体験」です。4人で1グループを作りました。それぞれ自分で選んだ文と解釈を発表します。聞き手は「いいね!」とほめたり、分かりにくい点について質問したりします。自分と異なる読み方が示された時こそ、良質な学びが生まれます。新しい見方に気づいたり、自分の解釈に磨きをかけたりできるのです。そこに解釈をシェアする意義があります。タイミングを計って大学生が介入し、話し合いを活発化します。
シェアした後は、「新たな問いの探求」です。気づきをさらに深める問いを用意しました。
「作者はこの体験を思い返すとき、どのような気持ちになるのか?」
書かれていることを基にして、書かれていないことを推測します。
自分なりの解釈をメモしたり図にしたり、自由な方法で記入します。参加者の多くは「箇条書き」をしていました。
メモした内容を、今度は100字程度の文章にします。メモの過程を経たことで、考えはすでに整理されています。参加者のみなさんはスラスラと書いていました。
当時の心情に加えて、現在の心情に想像が及ぶか、過去と現在を区別して説明できるかどうかが一つの見どころでした。このことはあえて伏せて問いかけましたが、多くの人が見事に期待に応えました。
最後に、作者に登場してもらいました。物乞いの母親と赤ん坊の前を通過したときの気持ちを、石渡君は当時をふり返りながら語ってくれました。
作者に聞いてみたいことはありますか? と呼びかけると、すぐに手が上がりました。「どうしてその母子を助けなかったのですか?」
とてもするどい質問です。石渡君はこの質問によって、あの体験をふり返ることになりました。自分の生き方にも関わる問題です。石渡君は悩みました。「初めてのことで驚いてしまい、あの親子がえたいの知れない存在に感じられてしまって、とにかく怖かったです。助けようと考える余裕はありませんでした」と答えていました。その場にいた人ならではの生々しい実感です。人の心の動きについて、セミナーを指揮した私も認識を新たにしました。
60分の短い時間でしたが、徐々に緊張がほぐれ、互いの想像力を刺激し合える空間を作り出せたと思います。ワークシートは回収し、赤ペンのコメントを入れて参加者のお宅に郵送しました。
次回の思考力セミナーにもご期待ください。