中学2年「国語2」の授業において、先日、発表された東京五輪エンブレム4作品の優れている箇所を見つけ出し、それを言葉で表現する授業を行いました。
生徒は教室に掲示された4つの作品を見てまわりながら、どういう点でそのデザインが優れているのか、作り手がどのような思いを作品に込めたのかを考えました。昨年9月に実際に五輪エンブレムを作った経験から、当事者の眼で鑑賞することができました。以下に生徒のコメントを紹介します。
【A案】
・心を涼しくしてくれる。
・エンブレムと文字を同一色にしている点で落ち着く。
・さまざまな形の四角により、たくさんの国が一つになっていくイメージにつながる。
・輪の中の白い部分が日本の象徴である桜をイメージさせる。
・棒と棒が手をつないでいる。
・シンプルにすることでインパクトが生まれている。
・藍色が日本の文化を表現している。
【B案】
・輪の中に人がたくさんいるところが、震災の時の人の助け合いを表している。
・五輪の色をすべて使っていて鮮やかである。
・マークの内側の円形が日の丸を表している。
・選手や観客が一つの輪としてつながっている。
・リングによって東京オリンピックを後世に伝える約束をしている。
・金色の部分で人が走っていることをイメージしている。
・円の中に人を入れることで平和を表している。
【C案】
・黄土色を使っているので心が落ち着く。
・人が喜んでいる、楽しんでいるように見えるところが良い。
・人びとが世界に羽ばたいていくイメージがある。
・いろいろな形の人が描かれることによって躍動感が出ている。
・人がゴールしたようにも見える。
・日本の神話に出てくる神がスポーツをしているように見える。
・いろいろな模様が、川や山や木、鳥などに見えるところが良い。
【D案】
・今回のオリンピックに勢いをつけるデザインである。
・朝顔、太陽が描かれることで夏のイメージが高まる。
・日差しがおしべ、めしべを表している。
・今日も一日頑張ろうという気分になれる。
・花の開きが新しい時代を表している。
・金メダルへの希望の光が表現されている。
・花と太陽がオリンピックへの期待や思いを強めてくれる。
生徒には「社会事象を自分の側に引き寄せて考える」「当事者として考える」という習慣を身につけて貰いたいと考えています。
同時に、日常生活や新聞紙上、また本のタイトルにまで、否定的な言葉や後ろ向きな言葉ばかりが氾濫する今の時代だからこそ、まず、よいところを探し、それを自分の言葉で表現する姿勢を持って欲しいという意図から企画しました。
これは、短歌での歌会や俳句での句会と同じ手法で、「読み手が、趣向を凝らして言葉を操り作品を鑑賞することで、書き手自身も気付かなかった新たな魅力を引き出していく」という営みです。
※尚、この授業について、日本経済新聞の取材を受けました。